SDM

インフォームド・コンセントからSDM(意思決定の共有)へ

SDM(Shared decision making)は、医療者と患者さんがエビデンス(科学的な根拠)を共有して一緒に治療方針を決定するもので「意思決定の共有」と呼ばれる。エビデンスが十分ある確実な治療法があれば、インフォームド・コンセント(Informed consent)が行なわれる。ところが、不確実性が高ければ治療の選択肢が多くなり、どの治療法がよいのか分からないときはSDMが必要になってくる。しかし、エビデンスが十分であればSDMは必要ないかというと必ずしもそうではない。例えば、がんの治療法について延命効果が2~3か月あることは確かであっても その期間のQOL(生活の質)、副作用や費用についても考慮する必要が出てくる。医師患者関係の分類について次のEmanuel論文が良く引用されるが「④がSDM」に該当する。
①パターナリズムモデル(父権主義モデル)
②説明と同意(インフォームド・コンセント)
③説明+患者の選択をサポート
④対話を通じて共に熟慮・判断(SDM)

具体的に、SDMをどうやっていくかであるが、意思決定を分かち合うということであるから、医療者は患者のことをよく知る必要がある。高齢者であれば、医療情報を聞いて理解すること自体が困難であり、①のお任せタイプになっても間違っているとは言えない。この場合、医師との信頼関係が築かれていることが前提となる。本来、医療は不確実でリスクを伴うものである。確かなエビデンスがあるといっても、臨床統計に基づいており、その患者がどうなるかは治療してみなければ分からない。ちなみに、エール大学の法学部で長年教鞭をとってきた精神科医でもあるJay Katzは、対話の重要性を説いているが、現代でも正論であると筆者は考える。『サイエンスとしての医学を支えるのは客観的なデータである。最近は医療機械や検査が次々と開発されて、医師も患者もそれに頼るあまり、両者の対話やスキンシップともなる診察が軽視されがちである。その結果、患者はいきなり検査を希望する。医師は検査に異常がなければ病気と考えない。そして患者の悩みや苦しみは癒されないことになる。従来の問診と身体診察の重要性を再認識する必要がある。対話によればお互い同士理解し合い、よい決断の共有(shareddecision-making)に導かれるだろう。その際、対話を始めるのは医師のつとめである。インフォームド・コンセントは対話の裏づけがあって始めて本来の意味が実現できるとともに、信頼の関係がなり立つ。』

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