製鉄所は約143ヘクタールで、マツダスタジアム62個分に相当する。日鉄は昨年度、高炉全2基と製鋼設備の解体・撤去費に503億円を計上した後、193億円を追加した。合計で696億円。期間は「コストなどを総合的に考慮し慎重に進める必要があり、相当の時間を要する」と説明する。
跡地活用の動きは見えてこない。日鉄は前身の新日本製鉄時代、堺製鉄所(堺市)の設備を休止して生まれた遊休地を企業用地などに再開発した経験を持つ。休止決定の翌年の1988年には開発基本構想を大阪府に提示し、89年には開発推進協議会を設立した。呉地区の場合、閉鎖発表から2年半が過ぎた今でも基本構想などは示しておらず、スピード感が乏しい。
閉鎖が近づけば離職者はさらに増えるとみられる。広島労働局によると、ハローワークなどを通じ8月末時点で500人が再就職した。相談対応などの支援を続けていく。